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第30話 「新しい時間」

ぷぅ〜〜〜〜。。。プッ。。
「く!くさいニャァ〜〜アァッ〜〜。。」
ヒカルに銃口を向けたまま失神したにゃん太郎。
「ちょ、ちょっと、私のオナラはそんなに臭く無いわよ!」
銃口を払い除け、ヒカルはにゃん太郎の肩を揺さぶったがどうやら壊れてしまったらしい。。。
振り返ると、ヒカルは以外はみんな失神して倒れていたのだ。
「やだぁ〜!なんてことっ、失礼しちゃうわ!」
逆切れしたヒカルはにゃん太郎を蹴飛ばし、諒子に駆け寄った
その時、
「逃げなさい!」神殿に響きわたる美しい声と共に、
女神像の手がゆっくりと開きはじめたのだ。
その手は七色の光を放ち、
光の中から現れたのは、球体に包まれた胎児。
「諒子と共にここから逃げなさい。」
響き渡る美しい声は胎児の声だった。
「あなたは何物?」
「私は、   」

.............ボコ!!!

「イタッ!」
「昼休みは終わりだがゃぁ〜、また店で何か書いてるにゃ。今度見つけたら会長に言い付けるだがや!
午後は買出しの後に2階と3階の便所掃除、終わったら101号室〜203号室のシーツ換え!ホレ!
さっさと行くだぎゃ〜!」
ヒカルを殴ったのは、名古屋訛りの小太り中年男。
酢昆布をクチャクチャと噛みながら買い出しリストをヒカルの頬に投げつけ
「今日もプリップリだぎゃ〜、にゃにゃ〜〜」などと従業員の尻を撫で回し休憩室から出て行った。
『千姫』の支配人「猫田オサム」はヒカルの書いている小説の「にゃん太郎」のモデルなのだ。
「はぁ〜。。。早くこんな店辞めたぁ〜い。。」
猫田に尻を撫でられ、ヒカルの隣で美しい顔を歪め溜息をついたのは
『千姫』ナンバー1のホテトル嬢キョンキョン。諒子のモデルだ。
「ねぇ、あなた、ワタシと一緒に逃げる?」
突然のヒカルの言葉にキョトンとするキョンキョン。
有無を言わさず手を掴みニッコリと微笑むヒカル、
買い出しに行くと言い足早に休憩室を後にした。

ヒカルの次のターゲットはこのキョンキョンなのだ。

長い時間生きていくのに独りじゃ寂しい、
ちょっとおバカな娘だと楽で便利だし、どうせなら美人がいいし!ふふふ。
『千姫』で働きながらちょっと貯えも出来た事だしここはもういいわ。
今書いてる小説は、福田川賞をねらってんだもん!目指せ印税暮らしよ!!
でも、ワタシが賞をとったらヤバイでしょ、だから今度はキョンキョンに手伝ってもらうわけ。
あ〜でも、賞がとれなかったらぁ、、、強盗、誘拐、振り込めサギもいいかもね。ウフッ。
だって〜、お金がないと生きていけないもんね〜
その為には、、キョンキョンに頑張ってもらわないとね!ふふ。

ほくそ笑むヒカルの頬をひんやりとなでる風が冬の到来を感じさせた。
高く広がる空を見上げると、雲が御名月島で出会ったアノ人達に思えた。
「今頃何してるのかしら、、、、おいないさんたち。。。」

「ヒカルさんって、私の事好きだったの?」
ヒカルに手を掴まれ連れ出されたキョンキョンは
頬をピンクに染めヒカルを見上げていた。
まだあどけなさを残すその顔はなんだか希望に満ち溢れている様に見える。
「あなた、、あの子に似てるのね。。。」
「あの子?」
「魔女っこメグよ!ふふふふふ」

さぁ、行きましょ!

ヒカルは新しい時間をまた一歩踏み出したのだった。

---終わり----








| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 12:00 | comments(0) | - |
第29話「神殿」
ヒカルは、光の洪水の中、目をしばたかせ、何が起こったのか把握しようとした。
そして次の瞬間、自分の目の前の光景に思わず息をのんだ。

光の正体は、水面の反射だった。
島の逆側からの海流の関係だろうか、洞窟の一部が侵食された形になっており、そこに海水が入り込み、湾のようなものが形成されていたのだ。
そして、その洞窟自身を彫りえぐる形で、神殿が造られていた。

ヒカルは神殿の中へと入っていった。
するとそこには、一体の美しい像が奉られていた。
「なんだか見覚えがあるような顔つきね…あっ!
ねぇお諒さん、あなた!あなたに似てるのよ〜。やだびっくりだわ〜ねぇ?」

ヒカルが振り返ると、諒子は凍りついた表情でその像に見いっていた。
「な、なぜ…」

「ねぇ、この像あんたにそっくりよねぇ??
あら?ねぇ、見て!手で何かを包むようにして持っているわ!!ほらっ!」
ヒカルがちかよって手を伸ばそうとした時、
「動くニャ!!じっとしてろ!それは小田切様のものだニャ!!!」
振り返ると、諒子が黒ずくめの男達に羽交い締めにされ、
傍らにはにゃん太郎が、
そして、真っ白なスーツを着た初老の紳士が立っていた。

「小田切…久しぶりなのにずいぶんなご挨拶ね」
「君は相変わらず勝ち気で美しい。でも、私から逃げた君が悪いのだよ。
しかし、ここでまた遭う事になるとは、運命を感じるね。
私は、この日を待っていたのだよ。」
小田切はそう諒子にいうと、今度はヒカルに向かい、
「君、その像の手の中のものをとってくれないかね?私のために。」
と、話しかけた。
隣ではにゃん太郎の持つ銃の銃口がしっかりとヒカルに向けられていた。

…つづく…
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 22:16 | comments(0) | - |
第28話「闇より」
20061006_250518.jpg
しばらく進むと光りが途絶え、漆黒の闇が二人を包んだ。
ヒカルは少しも恐怖を感じない自分が不思議だった。
それどころか、心地よく懐かしい。
なんだろう、この感じは‥‥
DNAの奥深くに刻み込まれた記憶のさざ波がヒカルに押し寄せる。
何かが私を呼んでいる気がする‥‥
実際、はるか後ろで諒子がヒカルを探している。
「ヒカルちゃん、どこ、どこにいるの?!」
だが今のヒカルにはその声も聞こえないようだ。
ヒカルは心の声に導かれ、なんの迷いもなく闇の奥へと進んでいった。
「私はここよ!」
無意識に叫んだヒカルの声が、響きあって洞窟を包んでゆく。
まるで洞窟がヒカルの声に共鳴を始めたかのようだった。
その音は途切れるどころかますます大きくなり地響きとなってゆく。
ヒカルは耳を押さえてその場に座り込んだ。
突然、目の前の闇が光りのナイフで切り裂かれ、白い世界が洪水のように押し寄せてきた。
壁の一部が崩れたのだ。
そして
洞窟の奥深くに隠された神殿が、今、姿を現した。

(つづく)
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 22:05 | comments(0) | - |
第27話「その先」
「見つけたわよ〜、このおいないさん野郎!」路子が鬼のような形相でヒカル達に迫って来た。怪しげな鉄拳を振りかざし上手に岩を乗りこなしていたかにみえた路子だったが、彼らに目前まで迫ったその矢先、足を取られてあえなく憤死、ノシイカのようになって地面に残された。

 主を失い暴走する大岩は、インディージョーンズさながらに二人に向かって転がって来る。


(ー奥へ逃げるしかないー)

二人は洞窟の暗闇の中を必死で駆けだしたが、転がる岩にかなう筈がない。

 (駄目だ…!)

諦めかけたその時、ガガーッ!という凄まじい音と共に大岩が突然動きを止めた。洞穴が急に小さくなっていたのだ。

「た、助かった〜」
「でも、帰る道を塞がれてしまったわ。どうやら神様は、先に進めと言っているみたいね。」


 ヒカル達は、運命に導かれるようにその先に向かって歩き出した。

つづく
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 00:46 | comments(0) | - |
第26話「千姫」
どれくらい歩いたのだろう。涼子とヒカルは沈黙を守ったまま、長い…果てしなく長い階段を下りていた。ヒカルの頭の中は、『忘れ物』の事でいっぱいだった。

『一体何なのかしら……千姫が封印したモノ……って……』

ヒカルはゴクリ、と唾を飲み込んだ。

『そー言えばあの詩…』

ヒカルはふと、御名月神社で宮司が詠んでくれたあの詩を思い出した。

『わが恋は…えーっと、わが恋は……、やだ!その後が全然思い出せない!……でも確か、愛子ちゃんが財宝とか何とかって言ってたわよね。それはちゃんと覚えてるもの。あ、でも財宝は無いんだっけ?うんうん、愛子ちゃんがそー言って……』

ヒカルは立ち止まった。ある事実に気が付いたのだ。

『まさか……千姫って―』

心の中で言葉の続きを言おうとしたその時、体が一瞬宙に浮く程の大きな地響きが二人の沈黙を破った。

「えっ!?今の何!?何なの!?」

目に見えない恐怖にヒカルは怯えた。

ガガガ、ドン、ドドン……
二人は同時に振り返った。尋常ではない大きな音。壁を擦る様な音である。何かが近づいて来ている。しかもとてつもないスピードで…。

「走るよ」

涼子は言った。恐怖におののくヒカルとはうって変わって、冷静そのものである。

「でも!でも何なの!?私、恐くて腰が抜けちゃ……った……」

ヘナヘナと座り込んだヒカル。涼子は、仕方ないねと少し呆れ顔で彼を担ぎ、軽がると走りだした。
二人の後ろからは、細い階段ギリギリの幅の大きな岩が、聞き覚えのある大きな喚き声と共に近づいてきた。

「くぉら〜〜〜〜っ!(くぉら〜〜〜〜)待たんかぁ〜〜〜〜いっ!(待たんかぁ〜〜〜〜い)……ぬるぽ(ぬるぽ)」

こだましている。

「ぬるぽ?ぬるぽって何よ?」

涼子の力強い背中の上で、小さな疑問を抱いた。恐る恐る振り返り、薄暗い階段を目を細めてよくよく見ると……

「あんた〜〜〜仇はウチがとったるけんなぁぁあ〜〜待てぇぇ〜〜〜い!」

路子であった。大きな岩を上手に乗りこなし、胸には『仇打ち』と書かれたタスキをぶらさげていた。

…………つづく…………
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 00:05 | comments(0) | - |
第25話「内海水軍」
 カツンカツン・・・
どこまで続くとも知れない階段を、諒子とヒカルは無言で降りていく。手を伸ばせば届く程の天井に反射された二人の足音だけがこの空間を支配していた。・・・一体どのくらい無言の歩みが続いたろう、元来おしゃべりではない諒子はともかく、ヒカルはこの沈黙に精神的限界を感じていた。

「それにしても、久しぶりに母島に行って改めて思ったんだけど、アタシの親ってホント酷い人よねぇ。赤ん坊だったアタシをあんな所に平気で捨てれるんだから。」
返事を期待していたわけではなかったヒカルは呟くように言った。今更親に恨み言を言うつもりだった訳ではない、ただ口をつく話題が欲しかっただけだ。しかし・・・

 カツ・・・
不意に先行していた諒子が歩みを止めた。思わずぶつかりそうになるヒカル。
「なに?お諒さんどうしたの?」
「・・・親か・・・」
自嘲気味に呟く諒子。理由はどうあれ彼女も子供を捨てた親の一人に違いなかった。足音に代わり真の静寂が辺りを支配する・・・今度は諒子が沈黙を破った。ヒカルを振り返り、全く違う話題を振ってきた。
「ねえヒカル君、母島にしろ御名月島にしろ孤島においないさんが多く存在するのは何故だと思う?」
「・・・え?」
「アナタと同じよ。『呪われた子』の捨て場所として、孤島が選ばれる事が多かったの。手元には置いておけない、でも殺すには忍びない・・・せめてもの親の愛情だったのかもね。」
「そんな・・・」
ヒカルは絶句した。本来誰よりも守ってもらいたい存在の親にさえ捨てられる・・・。おいないさんの迫害は、人口管理局設立の遥か以前から行われていたのだ。
「そんなのってないわよっ。アタシ達が一体どんな悪い事をしたって言うの?ただ生まれてきただけよ。好きでおいないさんになった訳じゃないわ!」
思わず激しい口調になるヒカル。諒子は神妙な顔で黙ってその非難を受け止めた。そしてゆっくりと口を開いた。
「そう、私達は何も悪い事はしていない。ただ認めて欲しいだけ、私達の存在を。・・・遥か昔にもアナタと同じように考えたおいないさん達がいた。」
「え?」
「孤島に捨てられた彼らは徒党を組んで武装蜂起したの。戦うことで自分達の存在を認めさせるために。元々周囲を海に囲まれた土地柄、彼らは船の扱いに長けていた。彼らは自らを『水軍』と名乗り時の権力者に戦いを挑んだのよ。」
「それって・・・まさか!?」
「そう、今私達がいるココを根城にしていた内海水軍よ。彼らの戦いは正に『おいないさんの乱』だったの。」
「・・・」
あまりの話の展開に再び言葉を失うヒカル。諒子はゆっくり体の向きを変えヒカルに背を向けた。そして静かに言葉を続けた。
「彼らは何も政府転覆をもくろんだ訳じゃない、自らの存在を賭けた避けて通れない必然の戦いだったの。長い長い戦いの末、千姫が水軍の長になった頃ついに彼らはあるモノを勝ち取ったの。おいないさんが何の心配もなく普通の人と暮らしていける為のあるモノを・・・。でもその代償に内海水軍は崩壊寸前まで追い込まれた、追っ手に追い詰められた千姫はそのモノをアジトの一番奥に封印し急ぎ脱出したの。」

一気にそこまで話すと、「話はここまで」とばかりに諒子は再び先の見えない階段を降りはじめた。その背中をじっと見ていたヒカルも、深く息を一つ吐くとゆっくりとその後を追った。
「それが『忘れ物』・・・そして・・・」
ヒカルは心の中で呟いた。おぼろげだったこの旅の目的が今はっきりと分かったような気がした。この階段の先にあるもの・・・それが・・・。

・・・続く
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 11:34 | comments(0) | - |
24話
20060930_247210.jpg
太陽が沈み、月が空高く上がる頃には、その場所に人がいたとは思えないほどの静寂が神殿の周りを覆いつくしていた。神殿の周りだけではない。島全体がひっそりとしていた。空はとても綺麗だった。雲ひとつない空。そこには月だけが存在していた。


諒子は周りに人が居ないのを確認すると、すっと神殿の横に広がる茂みに入っていった。ヒカルも後を追って茂みに入ると、月の光が諒子を包むようにある一点を照らしている。

照らした先に合ったものは小さな小さな竜の置物だった。ヒカルが側に寄ると、諒子は足元にあった竜の置物を拾い上げた。すると二人の足元が崩れ、次に目を開けた時には目の前には扉が1枚あるだけだった。この向こうに内海水軍のアジトがあるのだ。その時、諒子の唇の端が動いたのをヒカルは見逃さなかった。


めぐの母親。めぐを産んだ後『おいないさん』になった人。
『おいないさん』が変身出来るなんて・・・突然変異なのかしら。。
時代の変化に伴い『おいないさん』はただの年をとらない人、それだけでは無くなってきたのかもしれないわね。

「さぁ。行きましょう」諒子が入り口に手を伸ばそうとしたその手を掴み、
「ねぇお諒さん、千姫が封印した物って何なの?」
ヒカルは、理由がわからないまま進む事に違和感を感じていた。ここまで来て後戻り出来ないのはわかっていたが納得出来る理由が欲しかった。

「そうね…私達の『忘れ物』かしらね。。」

「え・・・」

「さぁ行くわよ」

それっきり諒子はそれについて何も語らず、怯むことなく神殿の地下、内海水軍のアジトへと進んでいった。


『コトン・・・。』

二人は気づいていないようだったが、二人の足元には壊れたリモコンが散乱していた。。


つづく。。
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| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 10:17 | comments(2) | - |
第23話「三島浦の洞窟へ」
20060929_246733.jpg
ヒカルは森の中を歩いていた。現在御名月島は、新しい神殿と御神像が見つかった。そのため、研究、発掘のため多くの人間が出入りしている。そして、調査のため保護施設の候補からも外れていた。

「宮司やオンチは元気かしらね?神社にはいなかったみたいだけど・・・でもいまさら会えないわよね。あんなにかっこよく立ち去ったんだもの!!」
「もう少ししたら三島浦、今のお助け淵の裏に出れるわ。そこで夜を待ちましょう。」

ヒカルの独り言が聞こえなかったのか、諒子はどんどん進んでいく。諒子は焦っていた。雲が御名月島に向かって流れているからである。
(もうすぐ小田切が来る)小田切が来てしまえば、手遅れになるかもしれないからだ。

ヒカルは進んでいくうちに恐くなってきた。夕暮れになり、辺りが暗くなってきたからだ。
「ねぇ、お諒さん。この先には何があるの?神殿は、向こう側よ。こっちには何もないはずよ。」
不安感からつい口に出てしまう。しかし諒子は確信めいた顔をした。
「確かに神殿に用があるんだけどね。私たちが向かってるのは、神殿の地下への入り口よ。内海水軍のアジトだった場所ね。千姫が残した、というより封印した物がおいてある場所よ。」
その場所には何があるのか。ヒカルはわけもわからずついていく。

その頃、回りに雲を纏い天空の城も御名月島に向かっていた。
ある一画で路子は金棒を振っていた。小田切から、新一が死んだ事を聞かされたのだ。それもヒカルに殺されたと聞かされていた。
「うちのあの人をよくも!ああ、あんたーー!!この仇はうったるからなぁ!」
つづく
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 00:55 | comments(0) | - |
第22話「天空の城」

ヒカルが緊張の面持ちで目前の御名月島を見据えている頃、大気圏に突入した路子は新一の死など知る由も無く、白龍の背中にしがみついていた。

「ぎゃ〜!ぎょえ〜!ひぃ〜!あんた、いったいうちをどこへ連れて行く気〜!!」

路子の叫びが聞こえているのかいないのか、白龍は気持ちよさそうに宙返りしながら大空をすいすいと泳いでいく。

大気圏に突入してから約30分、ようやく満足したように白龍が動きを止めた。背中にへばり付いている路子を銜え、雲の上に降ろした。内臓が口から出ようとするのを必死で押さえ、途中何度も気を失った路子は朦朧とした意識の中で雲の軟らかさを体中で感じていた。

「早く起きるのにゃ〜!!!!!」

気持ちよさに浸っていた路子を現実に引き戻すように、白龍から猫紳士の姿に戻ったにゃん太郎が鼓膜が破れるほどの声で叫んだ。

驚いて飛び起きた路子の前には巨大なピラミッド型の城がそびえていた。にゃん太郎は路子に「ついてくるにゃ〜!!」と言ったきり振り向きもせず城の方へとずんずん歩いていく。

「勝手に連れてきといて、何の説明のもなしなん!!ちょっと待って〜な!」

路子はにゃん太郎の後について城の中に入っていった。

路子がようやくにゃん太郎に追いついた時、にゃん太郎は見知らぬ物体と会話していた。その物体こそ小田切だった。ヒカルが踏みつけて粉々にした小田切は地上での仮の姿だったのだ。小田切の声はどこから発せられているのか、城中に響き渡っている。

「ようやく時が満ちた!今こそ望みを叶える時がきた!神をも凌駕する力を手に入れた私の、それでも叶わなかった望みを!いや、人類の望みを叶える時が!!答えは御名月島にある!!」

・・・つづく
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 02:14 | comments(0) | - |
第二十一話「真実への鍵」
 
 「結局帰ってきてしまったのね、この島に・・・でも、ここに全ての答えがあるんだわ」

 小さな漁船の甲板に立ち、徐々に目の前に迫ってくる御名月島を見据えて、ヒカルは呟いた。操縦室には、長い髪を風になびかせながら、じっと前方を見つめる諒子がいる。

数時間前ー 
 「あ〜、食べた、食べたぁ!!もー無理!」 
 はち切れそうなお腹を擦りながら、ヒカルは向かいに座る美しい女と目が合い、恥ずかしさに顔を赤らめた。御名月島へ急ぐ坊を何とか説得し、「チャングミ」に寄って10日間分の空腹を満たしたのだ。女は、諒子だ。幼児から蚊の姿になった“坊”が、今度は美しい女、諒子の姿になった。常識では理解できない事の連続に、頭がパニックになっていたヒカルも、徐々に冷静さを取り戻していた。

 
「ねぇ、母島での不思議な体験は何だったの?」一呼吸してから、ヒカルはおもむろに尋ねた。  
「ああ、あれはね、全部、最先端科学技術の賜物よ」諒子は平然と答えた。
「あの島は、今や小田切の極秘の軍事基地なの。兵器は勿論のこと、スペースシャトルも隠し持ってるのよ。あなたが瞬間移動した様に感じたのも錯覚で、全て機械によってコントロールされてるわ」
「じゃあ、あなたが変身したのは?」
「あれは違うわよ。何故かしら、あの島には不思議なパワーが宿っているみたいで、あの島にいる時だけ、ああ言う事ができるみたい。でも、皆が皆じゃないわよ。多分、おいないさんだけが、ね」

信じられない話を一生懸命理解しようと脳みそをフル回転させながら、ヒカルは一番気になっている質問を投げかけた。
「でも、何故御名月島へ・・・?」
諒子は、じっとヒカルの目を見てから口を開いた。
「・・・そこに、全ての答えがあるわ。小田切はそれを望んでるみたい」
 
ヒカルは遠い御名月島に思いを馳せながら、心の中で諒子の言葉を反芻した。
 
  (そこに、全ての答えがある・・・)


                             つづく・・・
| ☆リレー小説/ヒカルの後 | 23:56 | comments(0) | - |
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